会社の数字はここを見ろ 社員平均年齢編 

平均年齢と聞いてパッと思いつくのは、その会社の総従業員数の平均年齢。高ければ高齢の方が、低ければ若めの方が多いんだろうなぐらいに思ってた私、古江です。が、そんな単純な事だけではなかったご様子。平均年齢に隠された意味とは一体何なのか??それではシリーズ第4弾、「社員平均年齢編」!どうぞご覧下さーい!

<聞き手:合説どっとこむマガジン副編集長 古江健二>

 

古江 おはようございます!本日は会社の数字はここを見ろ〜社員平均年齢編〜ということでよろしくお願いします。

兵頭さん よろしくお願いします。

社員平均年齢が大切な理由

古江 さっそくですが、社員平均年齢とはどういったことでしょうか?

兵頭さん おそらく9割以上の就活生は気にしてないことだと思います。しかし意外に大事なデータなんです。結論を先に言うと「大きな裁量権で仕事したい」「早く成長したい」を軸にしている就活生は社員平均年齢が20歳~30歳前半の会社にいきましょう。逆に「ワークライフバランスを大事にしたい」「出世はゆっくりで問題ない」が軸の就活生は社員平均年齢が35歳以上の会社に行くのがオススメです。

 

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9割って言ったら、10人中9人って事ですよね?!これは危険だ!

 

早く成長したい人は平均年齢が若い会社に行くべし

 

兵頭さん まず前提となる考え方ですが、人は地位やポストで育つということです。もちろん教育研修は大事ですが、教育研修が充実しているけれどもあるポストへの到達年齢が遅い会社より、教育研修は完備していないがポスト到達年齢が早い会社の方が人は育ちます。

兵頭さん 例えば、古江さんが明日から転職先に出勤ってなりますよね。初日から10人の部下に朝礼の挨拶をしろと言われたら身が引き締まりませんか?

古江 確かに。それはちゃんとしなきゃってなりますね。

兵頭さん でしょ。若いうちにポストにつける環境かどうかっていうのはけっこう大事なんです。一例で私が若い頃に在籍していた東証一部上場企業スーパーの話をしてみます。

兵頭さん そのスーパーが平成初期の頃は、大卒新卒は毎年100人ほど入社、正社員数2,000人でした。あの頃は30歳ぐらいが社員の平均年齢でしたね。スーパーの場合、キャリア形成上もっとも重要なことは何歳で店長職に就くか、です。店長がターニングポイントでキャリアの軸でした。
平成初期の大手スーパーは大卒入社7年目、8年目で店長に昇進は珍しいことではありませんでした。29歳、30歳で店長になれた。

古江 若くないですか・・?

兵頭さん 今は、スーパーの店長っていったら50歳ぐらいのイメージだよね。そうなってしまったんですね。肌感覚ですが、社員平均年齢は毎年0.6歳ぐらい上がっていきました。僕が入社したころの社員平均年齢は若かったけど、今の大手食品スーパーの社員平均年齢は42歳前後の会社が多いですね。

兵頭さん 調べるとわかるんですが、スーパーに限らず、成熟した大企業は社員平均年齢は40歳以上がほとんど。

古江 社員平均年齢はどこで調べればいいんですか?

 

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教えて!Google先生!

兵頭さん ググればでるんじゃないかな。上場企業は開示されていることが多いですよ。

古江 ほぉー

兵頭さん わからなければ人事に聞いてみるといいですよ。ちなみに上場企業全体の社員平均年齢はおよそ35歳というデータがあります。

 

ワークライフバランスを大事にしたい人は35歳以上の会社にいくべし

 

古江 社員平均年齢は若い方がいいんでしょうか?

兵頭さん 価値観によります。「ゆっくり出世したい」とか「ワークライフバランスも大事」という人は成熟した大企業がマルです。

古江 なるほど。反対に早く出世したり大きな仕事したい場合は社員平均年齢若い方がいいと?

兵頭さん そのとおりです。また私の例で恐縮ですが、スーパーで考えて見ましょう。

 

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今日はスーパー押しだなぁ。

兵頭さん 当時のスーパーの店長は30歳。今は40歳以上です。でも、スーパーの店長の仕事レベルは今も昔も変わらない。一店舗の売り上げ規模も従業員数も、マネジメントの難易度も30年前も今も変わりません。つまり同じレベルの職位への到達年齢が単純に遅くなっていっているだけなんです。私は人事部でその平成7年ごろから15年以上にわたりその過程をみてきましたから。

兵頭さん やはり28歳で店長をやるほうがプレッシャーもすごい。40歳でやるよりもね。

古江 なるほどなるほど。どちらかがいいわけではなく、価値観で決めることが大事なんですね。

兵頭さん そうです。弊社の取引先企業に28歳で部長として100人以上の部下をマネジメントしている方がいます。その方とは2年ほど一緒に仕事をさせていただいていますが、この2年ですごく成長されたと思います。オーラが変わりました。

兵頭さん 肌感覚ですが、部下を多く持ったことで威厳というか、オーラが変わった感じしますよね。自信に満ち溢れている。地位が人をつくるんだなと改めて思いました。

 

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ふ…、深いぞ平均年齢。

 

自分に合った平均年齢は就活の軸によって変わる

古江 価値観によって変える必要はあると思いますが、オススメの社員平均年齢はありますか?

兵頭さん これはね、35歳以下がよい。社員平均年齢が40歳を超えているある会社では35歳以上の社員はABCのB評価でも給与が下がる人事制度に改定したという例もあります。

兵頭さん 社員平均年齢が20歳代後半の会社は若手にチャンスが多いと言えるでしょう。30歳代前半の会社はいろいろな意味で一番いい成熟をしている時期かと思います。30歳代後半の会社は大企業病が始まっていないか疑ってみてください。40歳越えの会社は役所などの公務員と同じような組織を想像していただければよいかと思います。「若い人にチャンス」なんていう採用広報のキャッチコピーが掲げられていたとしたら疑ってかかるべきです。

古江 新しい視点でした !本日もありがとうございました。

 

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必ずテェック!ありがとうございました!

 

おまけ

兵頭さん 研究材料として非常に両極端な2社をご紹介します。

1つはリクルートです。この会社は30歳をすぎると前向きな転職や独立をしていく文化ができていてハッピーな循環が生まれています。これは社員の平均年齢を若く保つ理想の形と言えます。

もう1つは伊那食品工業。年輪経営という言葉をググってみてください。完全年功序列です。会社の規模も微増を続ける。その代わり定年まできちっと勤め上げることができる。会社経営における人事戦略を長期的視点で描いた時に最も難しいことは社員平均年齢のコントロールです。ほとんどの会社はそこについて無策であり、ただの経年劣化をおこします。数十年スパンで戦略的にこの問題に向き合った時、ちょっと数学の出来る人ならリクルート方式か伊那食品工業方式の2択しかないことがわかります。人事というものへの理解を深めたい方はこの2社をよく研究してみることをおススメします。

 

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