何やら難しそうな言葉が出てきましたね。営業利益と言われてもどうしたものかという感じですが、物事をシンプルに捉える事がとても大事。100円のボールペンに集約された経済の仕組みを、面接の神様が教えてくれます。さぁ、僕と一緒に乗り切ろう!昨日と違う自分になれる…、はず!
<聞き手:合説どっとこむマガジン副編集長 古江健二>
粗利益と営業利益は違う
古江 本日は会社の数字はここを見ろシリーズ第3弾ということで、テーマは「営業利益」について聞いていきたいと思います。よろしくお願いします。まず、営業利益とはどういったものなんでしょうか?
兵頭さん わかりますか?
古江 え?私に聞きますか?えーと、簡単に調べたんですが、企業が本業で稼いだ利益となっていたような(汗)
兵頭さん それだと少し曖昧ですね。「粗利益」と「営業利益」は違うので、わかりやすい例で説明していきましょう。
古江 はい、お願いします!

兵頭さん 100円ショップのボールペンで説明しましょう。ボールペンの仕入れ値は70円だとします。そうすると、原価は70円で30円が儲けですね?これは「粗利」、「営業利益」のどちらでしょうか?
古江 粗利!・・・・・・・ですかね?(不安)
兵頭さん 正解です!
古江 良かったー!当たったー!
兵頭さん 勘ではなく、内容もしっかり理解して下さい(笑)
この「粗利」は会社の運営で使われます。人件費とか家賃とかもろもろの経費で。

古江 ふむふむ。
兵頭さん 粗利の使い道の大部分は人件費や家賃です。その他もろもろ細かい経費を使って残ったのが、事業活動における純粋な儲けであり、それを「営業利益」といいます。
古江 なるほど、「粗利」からもろもろの経費を引いたものが「営業利益」ですね!
人件費はいくらならいいのだろう
兵頭さん そうです。そして、会社として、粗利に対して営業利益はいくらか、人件費はいくらかなどを計算したものを「分配率」といいます。分母を粗利にして、いろんな経費を計算するわけです。
古江 ふむふむ。頭が少し熱くなってきました・・・・。

兵頭さん わかりやすく先程のボールペンの例で話しましょう。売上は100円、原価は70円、30円が粗利だったじゃないですか。この30円の粗利から人件費をいくら払いましょうか?
古江 えええ?30円から分けるって少なすぎませんか?
兵頭さん これが月収ではないですからね(笑)あくまでボールペン1本分の計算です。日本企業の平均だと、人件費は粗利の50%くらいなんです。つまり、さっきの例だと粗利は30円なので、人件費は15円です。
古江 なるほど、100円のボールペンを1本売ると15円もらえるわけですね。
兵頭さん はい、そして、もろもろの経費を払った後に残る「営業利益」が、粗利の20%になるのが優良企業といわれています。つまり、30円の20%ということで、6円が営業利益として残ればいいわけです。
古江 なるほどなるほど。
万国・時代共通の普遍の法則
兵頭さん ちなみに、30円の粗利で31円経費を使ってしまったら赤字です。売った時点で粗利益があっても、経費がオーバーして赤字になることを営業赤字といいます。
古江 なるほど。
兵頭さん 粗利に対する営業利益の割合のことを利潤分配率いいます。これが20%あれば優良企業です。私が尊敬する著名経営コンサルタントの方曰く、この原則は国、時代、業種を問ず、変わらないということです。

古江 不変の原則なんですね!この数字を調べるためにはどうしたらいいでしょう?
兵頭さん それぞれの会社の損益計算書を見る必要があります。上場企業であればどの会社もホームページから調べることができます。
古江 そんえきけいさんしょ?これまた難しそうですね・・・。
兵頭さん 数字がたくさん並んでいるので一瞬怯むかも知れませんが、見る項目は4つだけです。損益計算書は1行目が「売上高」、2行目が「売上原価」、3行目が「粗利」(売上総利益と書いてある)です。そして、かなり下の方に営業利益が書いてあります。
古江 ほ、ほう。その4つの項目を見つければよいのですね?
兵頭さん そうです。この4つをみて、営業利益÷売上総利益(粗利)で利潤分配率がでます。過去数年分を見て毎年のようにこれが20%以上あれば優良企業と言えるでしょう。

赤字でも優良な会社を見分けるために
兵頭さん ただ、1つ注意点は、利潤分配率が20%を割っていたり、さらに赤字だったとしても、その会社は悪い会社とは限らないということです。
古江 えっ?赤字でも優良企業ってことはあるんですか?

兵頭さん そうなんです。数字が悪くなるパターンは2つあります。1つは悪いパターンで、本業そのものが儲からない構造になっている場合。 これは優良企業とはいえません。
古江 はい、それはわかります。もう1つのパターンって何でしょうか?
兵頭さん もう1つのパターンは、仮に赤字でも気にしなくていいケースです。それは、先行投資をしているパターンです。 何らかの事業や人や物に投資している場合は利潤分配率が低くなったり赤字になったりすることがあります。
古江 なるほど!将来の大きな儲けの為にお金を使っているわけですね。
兵頭さん そうなんです。なので、仮に赤字だとしても優良企業の可能性はあるんですよ。

古江 ちなみに、これって決算書見てわかるんでしょうか?
兵頭さん 多くの場合はわかりません。なので、これは会社説明会で聞いてみるといいでしょうね。もし、会社の人や面接官が回答できなかったらその会社受けるのやめちゃったら?笑
古江 でました!その会社受けるのやめちゃえ!
兵頭さん 面接官を試験してやりましょう(笑)

古江 それは・・・・印象悪そうですね(汗)
兵頭さん 冗談はさておき、上場直前の上会社でも、上場前の4年間が連続赤字という例もあるんですよ。なので、決算書見て赤字だからダメと決めつけてはいけません。
貯金は会社の体力
古江 ちなみに利潤分配率が低いとどうなるんでしょう?
兵頭さん 会社の余力がなくなります。営業利益の何割かを税金で納めて、残りは会社の貯金になりますが、会社に貯金がないと、安定性は下がりますよね。特に今回の新型コロナのような非常事態の時に。
古江 確かにそうですね!!!貯金のない私は国からの補助金、10万円でもいいからすぐにでも欲しいです!
兵頭さん そういうことなんです。

古江 はい、それでは、本日のことをまとめて頂いてもよいでしょうか?
兵頭さん 「営業利益」と「粗利」は違う。「粗利」の20%が優良企業の営業利益の鉄則であり、これは国と時代を問わない。ただし、20%を切っていてもポジティブな場合とネガティブな場合がある。よくわからなかったら人事の人や会社説明会で聞きましょう。
古江 ちなみに本日の話は盛沢山でしたが、この内容はセミナーでやってますか?
兵頭さん はい、合説どっとこむ主催の企業研究というセミナーでやっています。無料なので、もっと話を聞きたい方は是非お越しください。
古江 はい、本日は会社の数字はここを見ろ、営業利益編ということで話を伺いました。ありがとうございました。

ここまで辿り着いたあなた、相当な猛者ですよ!この上なく自分を褒めてあげて下さい。これで他の就活生と差がついて、面接時でも日常でも有利に働くこと間違いなし!大変な時もありますが、良い事もきっとあるさ精神で、就活という名の荒波を無事泳ぎ切れる事を願ってます。
