毎年数百人の採用を担当した兵頭さん。合否の境目はどこにあるのか?そこには「2.6.2の法則」が隠れていた。今日は面接の合否を決める2.6.2の法則について面接の神 兵頭秀一さんにお話を伺いたいと思います。
<聞き手:合説どっとこむマガジン副編集長 古江健二>
古江 本日は2:6:2の法則をテーマにお話伺っていきたいと思います。
兵頭さん はい。よろしくお願いします。

満場一致で合格するのは50人中10人だけ
古江 まずこの2:6:2の法則というものは、どのようなものなのでしょうか?
兵頭さん これはねぇ、人事部で面接という仕事をやってですね、あるときにふと気付いたことなんですよね。最初のきっかけはある会社での社員の昇格面接。社員を主任から副店長に昇格させるための面接があるんですね。それで50人の主任の副店長昇格面接を担当したんです。
古江 はい。
兵頭さん それで、僕は人事部の代表として面接をやって、そしてあと2人同席するんですよ。エリアマネージャー、部長クラスが同席するんですよね。何日かかけてその50人を面接したわけです。
兵頭さん 会社から指定されていた合格枠は15人。それで50人面接してみてわかったんですね。
古江 中々の狭き門ですね。

兵頭さん 3人の面接官が満場一致で「合格だな」と言ったのが10人いたんです。
兵頭さん それで3人の面接官が満場一致で「不合格だな」と言ったのも10人ぐらいいたんですね。それで、合格10人決まっていているから、あと5人の枠がありますよね。
古江 はい。(あと5人ドキドキ)
兵頭さん それで残り真ん中にいる30人が入るわけです。これは本当に「どんぐりの背比べ」というか、差が無いわけですよ。だから、ほんのちょっとしたことで、運で決まることで何人か合格するわけですよね。
面接での実体験が働きアリの法則とも一致
古江 運で決まっちゃうもんなんですか!?
兵頭さん このときに気がついたんですよね。まさに「2:6:2」ですね。
古江 なるほど。ちなみに「2:6:2」というのは兵頭さんのオリジナルですか?
兵頭さん いや、ベースとしてはWebで調べるとあるんですよ。「働きアリの法則」って言うんです。僕の理論じゃありません(笑)

古江 あー。(ちゃうんかい)
兵頭さん アリを10匹、生育ケースに入れると巣を作り始めるんです。どんなアリを10匹住まわせても、2匹が働いて、2匹がサボるんです。こういう有名な説があって、面接での実体験が働きアリの法則とも一致するんですよね。
兵頭さん これはスポーツの世界でも同じことが言えるんですが、実は私こう見えても東京経済大学のバドミントン部の元監督なんです。高校生をスポーツ推薦で入学させるため、セレクションするんですよね。
ある年に10人の高校生がセレクションに来たんです。その年の合格枠は4人です。高校生の技量を2時間ほど確認し私とコーチと男子主将、女子主将の4人で合格者判定会議をやりました。すると2人の合格と2人の不合格はすぐに決まったんです。残りの6人から度の2人を合格にするかについて議論が紛糾したのです。ここでも必ず「2:6:2」現象が起こるわけなんですよ。
古江 はー。(実はすごい人なんだぁ)
兵頭さん 審査員が満場一致で「合格」というのが2割くらい。それで審査員が満場一致で落選させるのも2割くらいいると。
兵頭さん それで審査員が悩むのが6割くらいいると。
兵頭さん 毎年こうなるんですよね。
古江 なるほど。(僕は落ちる2割かなぁ・・・。)

必勝法は結果をコントロールできる
兵頭さん 就活生にお伝えしたい事は、「面接必勝法」という言葉の意味は、”必ず勝つ”方法なのですから、競争社会における上位2割を意識することが必要です。
古江 なるほど。
兵頭さん 5人のグループ面接やディスカッションを想像してみて下さい。この場合の上位2割に入るには1位になるしかありません。
兵頭さん つまり、1位を獲ることを考えなさい、ということなんです。
古江 ふーん。(簡単に言うなよぉ〜〜〜)

兵頭さん 真ん中6割は、どんぐりの背比べです。このグループに属する人が面接を通過できるか出来ないかは、運の要素が強くなってきます。だから学生がそこに10人いたら、少なくとも上位2人に入らないといけません。面接必勝法というのは、10人中上位2割に入れるような準備ができているかどうかが重要です。
古江 なるほど。
兵頭さん スポーツで例えるなら、試合会場に来る段階で「今日、優勝しに来た」と言ってくるくらいの意識。「俺より練習してきているのはいない」というくらいの準備ができているかどうか。真ん中6割の人は、とても優勝なんか覚束(おぼつか)ない感じで、組み合わせを見て一喜一憂しているというくらい。
古江 僕なんか、いつも一喜一憂しちゃいますね。
兵頭さん エラそうに行っている私も学生時代、会社員時代は真ん中6割のレベルの人間だったと思います。だからこそ、後になって確信に変わりましたが、結果の良し悪しが毎回運頼みになってしまうんです。つまり、結果をコントロールできない。
古江 僕は人生で何事も運任せなところある・・・。
真ん中6割って、抽選みたいなもの
兵頭さん 運で結果が展開されていくと、大して努力をしていないのに結果が出ちゃうときもあれば、そこそこ頑張っても結果が出ないときもある。だから努力を信じられなくなってしまうんです。
古江 なるほど。
兵頭さん なぜ真ん中6割の人は運任せになってしまうかと言うと、例えば、49位と50位の明確な見分け方って実際ないじゃないですか?ペーパーテストなら明確に点数がありますが、面接時の受け答えや笑顔って数値化できない。どうしても面接官の傾向、もっと言えば好みや印象の良し悪しが出てきてしまうんです。
古江 このあいだ教えてもらったメラビアンの法則にもつながる話ですよね。

兵頭さん だから面接合否の結果詳細って公開しないですよね。この人はこういう理由で50位です、この人はこの理由で51位ですって言えないんです。明確な差を表現できないんですよね。
古江 ふーん。
兵頭さん めちゃくちゃ厳正な審査をしているように見せているけど、真ん中6割って、抽選みたいなものです。極端に言うと。
古江 まぁ、運が良ければ、ということですね。まさにくじ引きですねw
兵頭さん そこから言えることは、よく言われる「こういう話をしたから面接に受かった例」とか「こういう話をしてから落ちた例」とかという風説や仮説は大体的外れなんです。60%の人は運で合否が決まってるから。

古江 中々ダークサイドな話ですね。まさに面接の裏側ですね。
兵頭さん 学校のテストみたいに、会社でもそういう差があるのかって推測する就活生の方結構多いんですよね。50位と51位とでなんか明確な違いがあるんだろうかって。
古江 ははは。
兵頭さん 実際は21位と79位の差がないんです。100人中。これが「2:6:2」です。
就活生が忘れてはいけないただ一つだけのこと
古江 兵頭さんも面接官として何人もの学生と面接を重ねてきたと思いますが、真ん中6割から合格を決める時はどうしていたんですか?やっぱりサイコロ振るんですか?
兵頭さん 僕は比較的真面目だったのでサイコロは振っていません(笑)ただし、会社ごとに評価項目があります。接客業の場合は笑顔が素敵かとか、プロジェクトを進めるビジネスマンを採用する場合は対人コミュニケーション能力やロジカルかどうかなど。評価項目を元に評価が高い人から順番に合格通知を出すようなやり方をとっていました。
古江 ちゃんとしてる!さすが神様!!
兵頭さん ただ、残念なことに中にはサイコロは大袈裟でも「なんとなく話が合った」「顔がいいから」「印象が良かった」と言った、なんとなくで合格を出してしまう面接官がいることは事実です。
古江 就活生は人生かかってるのになんとなくって失礼な!!!

兵頭さん そうですね。人事も仕事なので会社にとって良いと思われる人材を最短で採用しなければいけません。就職活動の構造上一部仕方がないことなのかもしれません。だから就活生が忘れてはいけないことが一つだけあります。
古江 なんでしょうか!
兵頭さん 面接で落ちた時に落ち込みすぎないこと。就職活動は長期戦です。一社の面接に落ちたからといって一喜一憂することは精神の消耗です。特に面接の感触が良かったのに不採用だった時に人間不信に陥るかのように落ち込む人がいますが、時間と体力の無駄です。確かに真ん中6割として評価されたという事実は受け止めるべきでしょう。真ん中6割ということはサイコロに近い状態で振り分けられて、エントリーシートが1枚ずれただけで合格だったかもしれない。そういうことって実際にありますから。
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古江 自分に能力や魅力がないと自信を失うほど落ち込む必要はないということでしょうか?
兵頭さん その通り。落ち込む時間があるなら、次の面接の時に上位2割と思ってもらえるように対策や準備に時間をかけましょう。
古江 もし困ったら面接の神様が相談に乗ると!そういうことですね!
兵頭さん そうです!最後に宣伝みたいになりましたが、面接対策で困って悩むのも時間がもったいない。上位2割に食い込む為にはちょっとしたコツがあるんです。そのコツさえつかめば面接で就活生の魅力を最大限に引き出すことができます。

古江 なるほど!僕も面接落ちたら、サイコロ振った面接官を恨んで兵頭さんに相談しに行きます!!
と、いうことで今日は「2:6:2の法則」について、伺いました。ありがとうございました。
兵頭さん ありがとうございました。
