池田 本日は、しくじ○先生のパロディーと言うことで、人事部時代の失敗談を5つ用意して頂きました。就活生ってどこか面接官や人事の人を神様というか凄い人だと思ってしまうんですよ。面接官に審査される訳ですから、心理的にそうなってしまうのは仕方ないとしても、やっぱり人事も人間ですから失敗もあるんではないかなと(笑) それでやっぱり面接の神様である兵頭さんに先陣切って失敗談を話してもらおうと。そして面接官も失敗するんだから必要以上に萎縮する必要なんてないんだよ!と就活生に伝えたいんです!
兵頭さん 今となっては神様としていじられて(?)いますが、若い頃は沢山失敗しました。今日はその中から人生ベスト5のしくじりエピソードを用意してきました。
合否判断ができない面接官
池田 それでは早速第5位から発表お願いします!
兵頭さん 第5位は「ど素人でしたごめんなさい」

池田 いきなりインパクトのあるタイトルですね(笑)
兵頭さん 初めて採用担当になって、1人目の面接の時でした。その人のことは、顔から大学名まで覚えています。30〜60分面接をしたのですが、合否判定できなかったんですよ。この仕事向いてねぇなあ・・・・ってかなり落ち込みました。
池田 今となっては面接の神様ですが、一番初めはそんな感じだったんですね!
兵頭さん 採用担当の引継ぎは、流れを教わった程度で数人の学生を並べて優劣を決めることはできたんですよ。ただ、1人を前にして「この人合格!」という判断の絶対評価はできませんでした。
池田 なるほど、そこは経験値が必要だったということですね。
兵頭さん それと、会社説明会で演説を1時間やらなくちゃいけなかったんですよ。前任者から簡単な引継ぎを受けただけで。何を話したかも覚えていないくらいに緊張していました。当時自分は幹部では無かったし。就活生の貴重な時間をしょうもない話につきあわせてしまって申し訳ないという気持ちです。就活をしていると、きっとそういう人事も多いですよ。
池田 たどたどしい説明をしている採用担当者は1年目と思えばいいですね。
兵頭さん はい、これは仕方ないですが、採用担当者はど素人が多いです。ちなみに私は3年目にお金を払ってセミナーで勉強し、そこから採用担当者として一丁前になったと思います。それまでは本当にごめんなさい。
学歴フィルターはろくなものじゃないけどやってしまう
兵頭さん 第4位は「学歴偏重主義でした、ごめんなさい」

池田 ごめんなさいシリーズ、なんか懺悔してる感があっていいですね!
兵頭さん スーパーで採用担当になった1年目、1次選考の学力テスト時に偏差値45で足切りしたんですよ。本来スーパーの基準はもっと低いのですが、偏差値が高い学生を集めれば評価されるだろうと。
池田 なるほど。偏差値高い大学生集めたら結果がわかりやすいですね。
兵頭さん 結果的に例年より偏差値が高い学生の採用に成功したのですが、それが失敗だったんですよ。
池田 何がだめだったんですか?
兵頭さん 1年目の離職率が例年の1.5倍に上がってしまいました。偏差値が高めの学生はサービス業との親和性が低かったんですね。なので、その次の年から足切りラインを偏差値40にしました。すると、偏差値40〜45にもいい人はたくさんいたんですよ。笑顔が素敵な人とか困っている人に親切にできる人とか。サービス業だったので、学歴の凄さだけでは判断できない仕事で大事な部分をきちんと見るようにしました。
池田 なるほど。仕事は学校のように偏差値だけでその人のことを推し量れないということですね。離職率は変化しましたか?
兵頭さん もとの水準に戻りました。なので、自分の偏った考えで学歴フィルターをかけてしまったんですよね。いまでも経験が浅い採用担当はそう言う人がいると思います。人物を見極めて掘り起こす力があれば学歴は参考程度です。 池田 経験が浅かったので学歴で選んでしまいました、ごめんなさいということですね。
時代を先行しすぎて失敗
兵頭さん 第3位は「480万円溶かしてしまいました、ごめんなさい」

池田 1人分の年収くらいですね(笑)
兵頭さん はい、当時はパチンコ屋ダイナムで、異例の600人採用せよと、予算を3億円いただいていたんですよ。1年目は成功したのですが、2年目の話です。1年目の数字を超えるために新しい方法を探してました。
池田 どんな方法を試したんですか?
兵頭さん 某求人媒体の広告は買い尽くしていたのですが、これからは動画の時代になりますと、その某求人媒体の営業マンがやってきたんですよ。
池田 今はまさに動画の時代ですよね。それって何年頃の話ですか?
兵頭さん 2005年頃です。なので、YouTubeがあったかなかったかくらいの時代です。それ以前に、まだ使いこなせていなかった求人媒体を先陣切って使って成功したことがあったので、動画も先陣切ってやってみようと買ったんですよ。
池田 なるほど。それが480万円だったんですね。
兵頭さん そうです。かつての先陣を切ってうまくいったように動画サイトの求人広告に480万円を支払いました。待ちに待ったグランドオープンの日が来たのですが、なんと反応はほとんど無かったんですよ。クリック数は1桁、もう背中から嫌な汗が滲み出てきましたよ。現場では1万円売上をあげることに苦労してる中、一瞬で480万円がパーになったと思うとゾッとしました。
池田 少し時代が早すぎましたね(笑)
魂が抜けた採用担当
兵頭さん 第2位「入社式司会、心ここにあらず、ごめんなさい」

池田 なんかタイトルが可愛くなりましたね(笑)どういうことですか?
兵頭さん 転職が決まっていたのに入社式の司会をやったんですよ。私の心はすでに次の会社に行っていたので、「さあ!これから頑張るぞ!!」という新入社員そんな空っぽの状態で新入社員を迎えて申し訳なかったなと。
池田 そんなことがあったんですか!?
兵頭さん そうなんです。転職活動って数ヶ月かかるじゃないですか。次の会社に行くことがほぼ決まってましたが、退職願を出していない状態。そんな状態で4月1日の入社式を迎えてしまいました。
池田 入社式の前に面接や会社説明会なんかもあったんじゃないですか?
兵頭さん ありましたね。やはり心ここにあらずで、熱を込めて語らないといけない会社のビジョンも上っ面でつぶやいているだけでした。
池田 その年の入社した方々はごめんなさいですね(笑)
不採用のはずが・・・。
兵頭さん 第1位「最終面接不合格者に内定出してしまいました、ごめんなさい」

池田 これは・・・・、第1位にふさわしい重いタイトルですね・・・。なぜそのようなことが起きたんですか?
兵頭さん 単なる書類上のミス、見落としでした。人事の仕事は非常に重大なものが多かったので、どの仕事もとても慎重にやっていたのですが、ミスが起きてしまったんですよ。私の人事人生の中で最大の失敗です。
池田 なぜ気づいたんでしょう?
兵頭さん ある時、内定者の書類整理していた時に気づいてしまったんですよね。この話、墓場まで持っていくつもりでしたが、当時の人事部長が引退されたので本日話してみました。さすがに会社と年度は言えませんが(笑)
池田 それは、やっちゃいましたね(笑)
兵頭さん この件は心残りだったのですが、後日談があります。その会社のホームページを数年後に見たら、活躍してる先輩社員でその人が紹介されてたんですよ。「よかったーーーー」って思いましたね。
池田 人生というか就活って不思議ですよね。その時の合否で人生決まるわけではないし、活躍も約束されてない。
兵頭さん まあ結局、就活は入ってゴールではないということですね。ちなみにこの事件は上司にはバレてないし、本人も知りません。私だけの秘密です。本人の名前は言えませんが、活躍してくれてありがとう!
池田 最後に兵頭さんにとって人事とはなんでしょうか?
兵頭さん 我も人なり、人事も人なり。だって人間だもの(笑)
池田 これぞ言い得て妙(笑)本日も長々とインタビューさせていただきました。ありがとうございました。
