履歴書とエントリーシート。面接をする上で、特に欠かせないものとして存在しているこの2枚の紙。しかしこの2枚が、就活生の貴重な時間を奪っている事をご存知だろうか?今回はその件について、面接の神にお聞きしました。
<聞き手:合説どっとこむマガジン副編集長 古江健二>
就活基本のキ!E.S.と履歴書の違いとは??
古江 履歴書とエントリーシートって何が違うんだろう?って混乱する時があるんですが、そこの違いから教えていただますか?

兵頭さん はい。例外はあれど、エントリーシートは選考のツールとして機能するものですね。履歴書は面接の時に横に添えるもので、特に新卒の場合は履歴書を参考にして選考するケースはほとんどないです。履歴書は詰まるところ選考のツールではなく、面接の時の補助的なツール。

兵頭さん エントリーシートはそれ自体が選考のツールだね。違いとしてはね。
古江 エントリーシートの方は、どういうことを書くんですか?
兵頭さん エントリーシートは、いわゆるガクチカという学生時代に力を入れたこと。そして自己PR、あるいはまあ志望動機にまつわるようなことが中心です。
古江 なるほど。それに対して履歴書というのは、えーと…、
兵頭さん まあ、住所、生年月日、学歴、あと志望動機なんかも書く欄あるのだけれども。
古江 ありますよね。
兵頭さん うん。履歴書のフォーマットなんて決まってるわけじゃないけど、全体的にサラッとしてるかな。学生時代力を入れたことも行数少ないし。
古江 履歴書は面接の時に必ずセットだったり…、するんですか?
兵頭さん セットなんですよ。まぁ大体2パターンありますね。面接をやる前に履歴書を先に見て、なんらかの評価ってほどじゃないですけど、この人良いかなぁなんて判断をするパターン。
古江 はい。
兵頭さん それか面接をする時に初めて手元にあるパターン。
古江 ふむふむ。それってどっちのパターンなのか、事前告知はされたりするんですか?

兵頭さん いや、これねー、状況によるんだよね。人事、面接官側だと履歴書を先に見ることもできるんだけどね。僕の場合は何十人、何百人って面接するからそういう手順はあんまりできなかったね。面接の時に初めて開くってことが結構ありました。
古江 ほー!それって面接官からすると、履歴書を見ながら質問しますよね。内容に集中できるもんなんですか?
兵頭さん あのー、ほとんど見ないです。実は。

古江:ほとんど見ないんですね笑
兵頭さん まあ、正直に言うと、熟読してなかったです。僕の場合はね。でね、履歴書って面接の話を早くするツール、なんですよ。例えば、履歴書がないと最初の質問に「中学の時に部活やってました?」みたいなところから入るわけで。でも履歴書があれば一歩進んだ話ができますよね。そのためのツールなんです。
手書きの履歴書に忙殺される学生の末路
古江 履歴書を書く時に、手書きかパソコンかっていうのがあると思うんですけれども、主流としてはどうなんでしょうか?やっぱり書いた方が良いんですか?
兵頭さん これはね、たぶん時代とともに変わってると思うんですよ。今と20年前ではずいぶん違うと思います。昔は手書きに拘ってた人もいましたね。でも今だとそれは生産的じゃないって考え方もできますよね。令和に手書きの履歴書を共有するのは僕はナンセンスだと思いますね。就活ブートキャンプっていってね、うちのビルに学生が1年中合宿して、大学生達の夜の自習時間を同じ部屋で共にしたりするわけなんだけども。履歴書を書くのに鉛筆で下書きするんですよ。
古江 鉛筆で下書きは、僕もやりましたね!懐かしい…。

兵頭さん その次にボールペンで上から書いていくわけなんですよね。こんな非生産的なことをやっているから、企業研究する時間も取れず、志望業界も決められない。その結果、私こんな人間ですけどいかがですか?っていう自分をね、提示するような面接しかできないと。極論いっちゃえば、手書きの履歴書とエントリーシートが就活をダメにしてると言っても過言ではないです。
古江 な、なんとまぁ…。
兵頭さん そこにすごい時間割いちゃってて。明日面接行くのに、その会社の社長の名前も知らないみたいな状態になってしまう。ものすごくね、忙殺されてます。手書きの履歴書とエントリーシートに。これが完全に就活を駄目にしています。
古江 僕も大事な履歴書を何度駄目にしたことか、手書きで。
兵頭さん そう。しかも最後のところで間違ったら書き直したりするでしょ?
古江 そうですね。

兵頭さん もう、膨大な時間を取られちゃっているわけですよ。
古江 あの間違えた時の絶望感といったらもう…。
兵頭さん そうなんです、そうなんです。まあ、3年で3割の新卒が会社を辞めてしまう、就職のミスマッチという社会問題の大きな原因の一つだと思います。手書きの履歴書とエントリーシートは。
古江 少し気になったのは、達筆な人は選考に有利なのかなって思ったんですが。
兵頭さん まあ、高評価の1つにはなりますよね。やっぱり綺麗な字の履歴書って印象がいいので。非常に知的な感じを受けますからね。でも、それも評価材料の1つに過ぎないです。
古江 なるほど、この間の美女、イケメンの話ですね。
兵頭さん 手書きじゃなきゃ駄目だっていう人事がいる会社なんか、受けるの辞めたらって。笑
古江 ちょっと今のは聞かなかったことにしますけど。
兵頭さん そんな古臭い会社、辞めちゃえば?って。

古江 バッサリいきましたね、さすがです!
その履歴書、シュレッダー行き?!
兵頭さん それでね、今はどうかわからないですけど、昔、履歴書でね、もうね困ったことがあるんですよ。写真を貼るじゃないですか。
古江 はいはい、写真貼りますね。
兵頭さん あれがねー、ノリで貼ってると剥がれるんですよ。
古江 ええ!?
兵頭さん だから、50枚くらいの履歴書をパンパンって机にたたいで整理したらポロポロって2枚ぐらい写真が落ちてるんですよ。これは絶対、両面テープで貼って欲しいんです。
古江 皆様聞きましたか?両面テープですよ!!
兵頭さん そうなんです、絶対両面テープが安定してる。ノリだと落ちちゃうんですよ。それで写真の裏にね、名前が書いてあればまだいいんだけどね。2枚写真が落ちてきてどちらも名前がないと、写真のない履歴書2枚と写真2枚。これどっちかわからなくなる。ってことが実際あったんですよ。今あるのかなそういうこと。
古江 実際その事件があったときに、ちゃんとその人の名前のところに写真は戻せたんですか…?
兵頭さん そうするとね、これ大企業だとねこんな割り切りかたしますね。僕もやったことあるかもしれない。もうこの2人さようならです。

古江 えぇーーー!!
兵頭さん だってもう万策尽き果ててますもん。本人にあなたの写真どっちですか?なんて聞けないし。
古江 確かに…。
兵頭さん だからこれも縁がなかったって諦めちゃう。まあ、応募人数が多くて倍率が高いと、それくらいのこと平気でやりますよ。
古江 ほお!!!すごい話聞いた。
兵頭さん そう。まあ大企業の人事部って部署は、本当デリケートな部署で。小さな問題起こすくらいだったら揉み消してやろうみたいな発想の人ってすごく多いんで。
古江 やばいじゃないですか。それ某内閣みたいな話じゃないですか。ちょっと、怖い…。
兵頭さん これが社会ですからね。でも、そういうこともあるんだと思って、履歴書の写真をノリで貼ることはやめる。まあ最低でも写真の裏に名前を書いておく。

古江 なるほど!
兵頭さん これが人事っていうね、大企業の人事っていう発想ですから
古江 いやいや、大人の世界って怖いですね。
兵頭さん 怖いですよー。不合格って処理しちゃえばいいわけですから。こんなの上司にも会社の社長にもわかんないんで、こいつはただ落とした奴だって形で処理されちゃいますからね。
古江 わかりました。両面テープで貼ります!
兵頭さん 本当にね。もう本当困ったんですよ。ポロポロ2枚3枚落ち、まあ1枚落ちてきても、それをまたこっちで貼り直したり。でもノリとか両面テープ持ち合わせてないし。本当、ウザかったです、あれは笑
古江 ウザくなちゃった…。
兵頭さん 本当、ウザかったです笑
古江 わかりました。じゃあ就活生の皆さんちゃんとね、写真の裏には名前と、そして両面テープを貼るということで。
兵頭さん そうです。とっても大事なことです。それが不合格理由になってることもあるかもしれません。

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