人事が忖度なしに会社のありのままを伝える企画<人事のホンネ>
今回は時価総額250億円を突破し、日本郵船をはじめ東証1部上場企業数社等と資本提携を結び、今、ノリにノっている「株式会社トヨコー」代表取締役付採用戦略担当の中村さんにお話を伺った。トヨコーのルーツや魅力、課題点、未来像、そしてどんな人材が欲しいのか。赤裸々に語ってもらった。
<聞き手=髙橋 康平(合説どっとこむマガジン編集部)>

オンリーワン事業を展開する「トヨコー」
高橋 <人事のホンネ>ということで、株式会社トヨコー代表取締役付採用戦略担当の中村勇太さんにお話を伺います!建設業界の3Kをcoolにcleanに、そしてcreativeの3Cに変えていく。まるでドラマ「下町ロケット」のようなトヨコーの素顔に迫ります!よろしくお願いします。
中村さん よろしくお願いします。
髙橋 それでは早速ですが、トヨコーは具体的に何をしている会社でしょうか?
中村さん 業界で言うと建設業界ですね。建設業界は大きく分けると建築分野と土木分野に分けられます。それぞれで「建てる」仕事と「メンテナンス」がありますが、我々がやっているのは、2分野ともメンテナンス領域になります。
髙橋 なるほど。メンテナンスに絞った会社なんですね。
中村さん そうですね。建築分野では工場等の建物を対象にした、SOSEI(蘇生)事業を、土木分野では橋、鉄塔等のインフラ構造物を対象としたCoolLaser事業を展開しています。
髙橋 SOSEI(蘇生)とは具体的にどんな??
中村さん 雨漏りなどの不具合が出た工場・建物の屋根を生産ラインを止めずに直すことで、延命させる事業です。というのも、屋根ごと交換すると工場は生産ラインを止めなきゃいけない。そうなると赤字になってしまうので、我々は生産ラインを稼働させたままメンテナンスをしています。
髙橋 へー!むちゃくちゃすごいですね!その技術はトヨコーしか持っていない技術なんですか?
中村さん 屋根のメンテナンスにはいくつか方法がありますが、樹脂と塗料の技術を組み合わせて、3層吹き付けるという方法は我々の独自の工法になります。特に老朽化してアスベストを含み水洗いができないスレート屋根の市場には非常に優位性があり、これまで90万㎡(東京ドーム20個分の広さ)の実績があります。

髙橋 なるほど。それがSOSEI(蘇生)事業ですね。もう1つのCoolLaser事業というのはどのような??
中村さん 橋や鉄塔などの表面のサビや劣化した塗装、汚れなどをレーザーを使って除去する事業です。
わかりやすく橋を例にして解説しますね。橋の劣化原因の1つはサビと言われています。それを放っておくと落橋してしまうため、皆さんが安全に橋を渡るためにも塗替作業が必要になります。作業自体はシンプルで、錆や塗膜をバーっと取って、その後に塗料を塗る。要は元の状態に戻すんですね。そうした屋外のサビや塗膜除去にレーザーを持ち込んだのが我々なんです。

髙橋 それは珍しいんですか?
中村さん はい。我々の特許技術を駆使していて、世界初の工法になります。
始まりは塗装屋だった
中村さん どちらの工法も、従来の方法では解決できない現場の課題を解決するために立ち上げた事業になります。我々はメンテナンス業を行う工事屋でありながら、現場で使う道具や工事方法も自分たちで確立するメーカー的要素も兼ね備えた会社なんです。
髙橋 面白い。確かに工事屋さんでメーカーもやってます、みたいな会社はあまりないですよね。設立は1996年ですが、元々やってらしたんですか?
中村さん 実は元々は塗装がメインの会社だったんです。余談ですがこれには歴史があって。今は静岡県富士市に本社を構えていますが、創業時は隣の市の静岡県由比に本社がありました。その辺りは鋼橋塗装発祥の地と言われてて、東京タワーやマリンタワーを塗った職人はこの辺りの町の職人だったんです。そこから派生したのがトヨコーなんです。これからそれら鋼橋をメンテナンスしていこうとしていると思うとなんだか縁を感じますね。
髙橋 町の先輩方が塗ったものを後輩がメンテナンスをする。まさに「縁」ですね。
中村さん そうなんですよ!!・・・話を戻します(笑)それで、創業当時の塗装事業は他社と差別化を図ることが難しく、売上が伸び悩んでいました。
ただ、ちょうどこの時、特殊な防水工法の代理店募集の話が飛び込んで来たんです。
その過程で防水工事業に参入するかと。初めは代理販売のみでしたが、社長の豊澤の営業がうまかったらしく、200社くらいの代理店の中で営業成績1位を獲ったことがあるみたいです。(笑)
でもやっぱり「我々しかできないことをやりたいよね」と。そんな頃に工場屋根のニーズと出会い、解決できていない新たなニーズが舞い込んできました。なので、そのニーズを解決しようと始めたのが2006年のSOSEI(蘇生)事業でした。
髙橋 なるほどなぁ。きっとパワフルな社長さんですね。塗装業をやるにあたり1度、専門の大学に入学されてたりしたんでしょうか?

中村さん 塗装業とは180度違う、デザインの専門学校に入学して1年で辞めたみたいです(笑)その後、19歳で設計デザイン事務所に約3年間修業しその後、先輩とデザイン会社を設立し洋服を販売する会社を立ち上げました。しかしながら25歳のころに先が見えなくなって挫折した。と聞いています。
その後は、家業のトヨコーに2003年に入社しました。最初は挫折もありどん底だったみたいですが、そこから徐々に建設業の重要性・魅力に気付いていき、2006年に蘇生工法を開発。開発から半年で事業は軌道にのりました。建設業界出身者でなく、デザイナー出身者だからこそのアイデアだなと思います。
髙橋 いい感じでマッチしましたね。
自らのパイを焼く
髙橋 では、トヨコーの魅力はなんでしょうか?
中村さん パイ取り合戦をしないことです。ある市場に参入してパイを奪うことはせずに、自分たちで市場を創っていく考えで、SOSEI(蘇生)事業もCoolLaser事業も生まれてます。第三の矢ですでにパブリックアート事業の本格的な準備を始めています。
髙橋 なるほど。トヨコー5つのこだわりにありましたね。
中村さん そうなんです。「市場がないところに自分たちで市場を創っていく」ことが会社としての価値だと思っています。
髙橋 社長のいいDNAが出てきているというか。営業マンらしいガツガツさとデザイナーらしい新規性が融合しながら進んでいくのが魅力ですね。他にはありますか?
中村さん ツートップ経営しているのも特徴です。SOSEI(蘇生)しかりCoolLaserしかり、パブリックアートしかり、ゼロイチを作る社長(豊澤)と、事業を大きく伸ばす社長(茂見)で役割分担ができています。茂見(もみ)はデロイトトーマツでコンサルタントとしてベンチャーから東証一部上場企業まで1,000人以上の経営者をサポートしてきました。
その経験を、今度は実業家として世界にチャレンジしています。非常に相性の良いツートップなんじゃないかと。
建設業界の3Kを3Cに
高橋 建設業界はいわゆる3Kと呼ばれてしまう状況において、遊び心というか、アートみたいなことってあるんだと。それが市場を創ってる感じがしますよね。
中村さん 社長(豊澤)の原体験の影響もありますね。もともと家業を継ぐつもりはなく、デザイナーになったことが大きいと思います。塗装屋ってかっこ悪い、みたいな。その経験から若い人たちが建設業界にいきたいと思える業界にしたいと。(実際、建設人口は減少してますし…)3Kを3Cに。cool・clean・creativeにしていこうと。それもあってパブリックアート事業も始めてます。まぁ僕からすると今、アート事業をやるべきじゃないと。やめてくれよって感じですけどwwww
髙橋 ははははは。CoolLaserに特化してよ、みたいな。
中村さん そうそう、CoolLaserでやっていこうよって。なんでいまアート事業なのと。
とはいえ、凡人が理解しえないからこそ、なんですよね。そもそも精密機器のレーザーを土木の世界に持っていく時点でぶっ飛んでます(笑)

人事のホンネ
髙橋 では、次はトヨコーの課題について。どの会社にも課題はあると思いますが、代表取締役付採用戦略担当(人事)の立場で感じる課題をありのままにお願いします。
中村さん スタートアップなので課題だらけですが、1つ上げると一人一人の使命感です。事業計画書だろうと、口ではどうとでも言えてしまうと思います。我々の描いているビジョンは一人一人が人生をかけた挑戦をしても達成できるかわからないくらい壮大です。自分も含め、全員が日々、なぜこの会社にはいったのか?自分は今、緩んでいないか?そう自問自答しながら、事業に取り組んでいかなければなりません。もちろん、人数が増え、経営者との距離もできていく中で、これを意識しながら日々の業務の中で体現していくことは本当にむつかしいと思います。いま、全社でこの意識強化を遂行する仕掛けを作っています。
髙橋 私も経営側としてすごくよくわかりますね。本当に難しい。
ところで、そういう姿勢のスタートアップだからこそ、新卒でも入ってすぐに、中間管理職になれるような環境はあるんですか?
中村さん タイ人の新卒社長がいます。なので、能力があればどんどん起用していく方針です。結果を残せば、年齢関係なく評価される。そういう、性別、国籍、年齢といったものが関係のない制度を目指しています。
髙橋 若い人たちにもチャンスがありますね!それでは、トヨコーはどこに向かっていくのか、未来像をお聞きしたいです。
「下町ロケット」ベンチャーの視線の先
中村さん 20兆円市場を創る。これは世界のインフラメンテナンスの市場200兆円の10%を創るということ。SOSEI(蘇生)とCoolLaserでとっていこうと。マーケットにもポテンシャルはあると思ってます。
髙橋 もし大手が参入してきたらどうなるんでしょう?
中村さん SOSEI(蘇生)に関しては競合他社が参入し始めてます。ただ、15年の実績と世界的にも珍しい工法で差別化はできています。
一方、CoolLaserは特許を世界規模で保有してます。なので他社は真似できません。だからこそ、大手企業から一緒に事業を進めたいと言っていただけています。下町ロケット的な感じです(笑)
髙橋 下町ロケットのイメージは超納得です!(笑)
中村さん はい、ちなみに顧問弁護士は下町ロケットのモデルの先生です(笑)
ビジョンに共鳴できるか
髙橋 最後に、トヨコーが求める人物像を教えてください。
中村さん 我々のミッション、ビジョン、カルチャーにマッチしているかです。いくら優秀でもここがマッチしていなければ一緒に戦えません。マッチしていると判断すれば、あとは職種視点での判断になります。営業か、施工管理か、技術なのか。それぞれ専門性が出てくるので、そこはまた別途見ていきます。
髙橋 なるほど。確か選考方法にもこだわりがあるんですよね?
中村さん そうなんです。説明会の後にミッションシートの提出と最終選考はプレゼン選考にしています。一方的な選考でなく、しっかりと相互理解をする場にしています。
私自身が就活をしていた頃から、お互い見栄を張る、化かしあいの選考に嫌気がさしていました。お互い全力で本音でぶつかる。まさにこの企画の「ホンネ」は大事なんです。
髙橋 トヨコーの未来に共感して、自分も世界企業を目指すんだ!と。そう思えた方はぜひ選考に進んでみて欲しいですね!!
中村さん はい。我々は大きな挑戦をしている過程です。その中で仕事と向き合った時にどういうレベルでやりたいのか。ワークライフバランスを否定するわけじゃないけれど、ともに世界を目指す覚悟はありますか?と。1名でも多くの志を持つ方との出会いを楽しみにしています。
髙橋 本日は株式会社トヨコー代表取締役付採用戦略担当の中村さんに話を伺いました。ありがとうございました。

社長からのコメント









